赤い呪い

1/9
前へ
/9ページ
次へ

赤い呪い

~赤い呪い~  日の光のする白い布団を剥ぎ取って、早朝、『りょう子』は目を覚ます。もう一年もたたない内に古希を迎える老人は、そんな年を迎えるとは思えないほど若々しい。最も、皺がまったくないわけでも、手がふっくらとしている訳でもないが、それでも高身長と艶やかな髪、光の灯った瞳には強い生気が感じられる。これは彼女の若い時代より、ある意味生き生きしていると捉える者も多かった。  朝五時半から始まるニュースが十分過ぎたところで、りょう子はテレビを見始める。食事は今日は自分で作らず、買い込んだ惣菜パンの一つを開けた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加