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赤い呪い
~赤い呪い~
日の光のする白い布団を剥ぎ取って、早朝、『りょう子』は目を覚ます。もう一年もたたない内に古希を迎える老人は、そんな年を迎えるとは思えないほど若々しい。最も、皺がまったくないわけでも、手がふっくらとしている訳でもないが、それでも高身長と艶やかな髪、光の灯った瞳には強い生気が感じられる。これは彼女の若い時代より、ある意味生き生きしていると捉える者も多かった。
朝五時半から始まるニュースが十分過ぎたところで、りょう子はテレビを見始める。食事は今日は自分で作らず、買い込んだ惣菜パンの一つを開けた。
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