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【2020年5月12日】
男の子はしつこかった。女の子は無視していたからベランダには3台も飛行機がいた。翌朝、タバコを吸いに来た母は何これ?と言って彼女を睨んできた。彼女は知らないと答えると母は次々ベランダの下に捨てて、それから何も言わずに家を出た。
学校が無いから女の子はただ家にいるしか無かった。他にすることは無かった。窓の外は晴れ渡っていた。網戸越しにそれを見ていた。外がにわかに騒がしくなり、バレない程度に目をやると、男の子が半ベソを書きながら紙飛行機を回収していた。女の子はそれをただ見ていた。すると飛行機はまたやってきた。メッセージはこれまでより遥かに短かった。
そのとき、彼女はたまたま割合の計算を放置していた。このままにしていると、休校が終わった時担任がうるさいだろうとは思っていた。そこで彼女は初めて糸電話を手に取り、短く要件を伝えた。糸の向こうからは上ずった声の返事が返ってきた。
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