無限の住人 ~大切を探しに~

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「大丈夫ですか?」 「うん もうこの家の中は隅々まで見たからね 写真も取ったしね」 「こころの準備が出来たら 行きましょう」 「私先に行ってるから 後からきて良いよ」 「いや、 どうせなら一緒に」 「いいの? 思い出に浸らなくて」 「一人で出る方が 心細いですから 一緒にお願いします」 「分かった」 「じゃあ行きましょう」 「はい」 「では」 合図も無しに二人で同時に家を出た。 振り向くこと無く少し歩いた。 そしてゆっくり振り向いた。 そこには知らない家があった。 「僕の居場所もなかったみたい」 少し見ていると 中から家族が出てきた 今から出掛けるそうだ 子供と目があう 「おはようお兄ちゃん! 今から家族で公園に行くの!」 「おはよう よかったね」 「ほらほらちゃんと荷物持っていきなさいよ」 お母さんが子供を誘導し 僕たちに笑顔で会釈した 最後にお父さんも出てきた 同じように会釈して車へと向かった 「ほら、行こ!」 しほさんの方が先に目をそらした 僕を呼ぶ声も 明るく振る舞うために繕ってるのが分かる 追いかけなくても 振り向くことがなかったから そういうことなんだろうと思う 追い付いても こっちを見ることがなかったし 「じゃあ、探しにいきますか?」 「もちろん! 私たちの世界を探しに!」
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