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私は意を決し、ドアを開けた。
「いらっしゃい」と中から裏返った感じの声が聞こえた。
店に一歩入った。部屋はそう広くはなかった。左側にカウンター席があり、右側には一人掛けのソファーが対面で置かれているテーブル席が二つあった。
カウンターの向こう側でお酒の瓶が並ぶ棚に背を向けた一人と、テーブル席のソファーにこっちを向いて座っている人の、合計二人がいた。
その二人とも、きらびやかなドレスを着ていた。スパンコールをあしらっているようだ。古い歌ばかりを流す公共放送の歌謡番組に出てきそうな衣装だった。
(続く)
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