中空に影が見えた

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中空に影が見えた

 「あれっ?!」  ルカルカが、北の草原の方を見やりながら声を上げた。  「どうした?」  リキマルは大きな岩の上から、西のオアシスを眺めていたが、ルカルカの声が気になり降りてきた。  「何かあったのか?」  リキマルは、ルカルカの灰色の瞳を見つめながら再び聞いた。  「影が……」  草原にぽつねんと生える一本の木の方を指差しながら、ルカルカは答える。  「何の影だ?」  「時空鳥(タイムバード)よ。それも訓練を受けてる鳥だわ」  ルカルカは眼も良いし勘も冴えている。間違いないとリキマルは思った。  「時空鳥使い(タイムバード・マスター)がどこかの時代で動き始めたわけだな」  「そういうことね。やっかいだわ」  「こちらが時空鳥(タイムバード)に見つかった可能性はあるのか?」  「大丈夫でしょう。私たちの時空間座標を通り過ぎるのが早かったから。でも次は分らないわ」
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