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外に出ると、お酒と鍋とそれから炬燵でポカポカに温まっていた身体が、その寒さにキュッと縮こまった。
「わぁ、寒い」
そんなの当たり前なんだけれど、それでも呟いてしまうほどの冬の空気の中で、一つついた溜め息が真っ白になって広がっていく。深呼吸をすると冷たい空気が身体の中に入ってきた。
「もうここでいいですよ。二人に風邪を引かれては、引っ越しを祝いに来たのか邪魔しにきたのかわからなくなりますから」
黒のスリムなシルエットのコートがものすごく似合っている雪隆さんにそう言われて、俺は「いえいえ」と首を横に振った。
「いいんだ。今日は忙しい中ありがとう」
「いいえ、兄の嬉しそうな顔が見れてよかったです」
「あぁ、とても嬉しい」
にっこりと微笑むと、雪隆さんがくすりと小さく笑っていた。すごくすごく心配だった兄が、今は謙遜もせずにとても嬉しいと顔を綻ばせることにホッとしたような、惜しげもなくニコニコ笑顔を振りまく兄に気恥ずかしいような……そんな顔。
「拓馬さん」
「は、はい!」
「兄はこんなですが、宜しくお願いします」
「い、いえ! こちらこそ、宜しくお願いします!」
「惚気てばかりで、我儘ばかりの兄ですが」
「ぁ……いえ」
なんか。
「どうか呆れて見捨てないでください」
なんだか。
「いえ」
敦之さんをお嫁さんにもらうみたい。
「どうかお願いします」
「は、はいっ!」
違うかな。生まれた子犬を譲ってもらったような感じかな。悪戯好きな、可愛い子犬を。
「うちではもう引き取りませんので」
「あ、はい」
ほら、なんだか可愛い子犬みたい。でも、可愛い子犬でも、可愛い花嫁さんでも、もう。
「大丈夫です。離れたりなんて、絶対にしませんから」
もう手放してなんてあげないって決めてるから。
そっと手を自分から繋いだ。少し気恥ずかしいけれど、それでも離さないし、離れないと敦之さんに、ご家族に伝えるように、伝わるように、ぎゅっと手を繋いで。
雪隆さんと環さんが見えなくなるまで我が家の前で見送った。
「……拓馬」
「はい」
部屋に戻ると、つけっぱなしにしておいたエアコンの温かさに、ほぅ、と身体が安堵したのがわかる。片付けまで一緒にしてもらってしまった。散らかしてしまったからと、雪隆さんと環さんも食器を片付けてくれたから、戻っても特にやることがなくて、敦之さんは大のお気に入りの炬燵の中から俺を手招いた。
「おいで」
「あ、はい」
素直に従って、隣に座るとそこじゃないと、また手招かれる。
「ぁ、の……」
手招かれたのは彼の膝の上。炬燵の中に足を入れて座っている敦之さんを背もたれなんかにしてバチが当たりそう。足の間に座らされて、幾分か敦之さんより短い足を炬燵の中へと入れると、ほんわかした温かさと、この体勢に体温が僅かに上がる。
「さっきの、嬉しかった」
「ぇ? あ、離れたり、なんか、ですか?」
後ろから抱き締められて、腰から回された腕が俺の手前でキュッと結ばれる、ピッタリと重なるようにくっついてるから、ただコクンと頷かれるだけの仕草でも敦之さんの髪がうなじに揺れるのが分かった。
「幸せだ」
「あ、の……」
外がとても寒かったから、コートも着ずに見送り出た俺はこの温かさにホッとするのに。敦之さんの体温が混ざるだけで、とてもドキドキしてしまう。
「俺も、幸せです」
して、欲しく……なってしまう。
「……ぁっ」
服の中に侵入してきた手に乳首を抓られて、小さく声を上げた。
「あっ……ン」
摘まれると気持ち良さそうな甘えた声が自然と溢れてしまう。
「ン……」
恥ずかしい。今さっきまで雪隆さんがちょうど、この目の前に座ってたんだ。敦之さんの席の真向かいは
雪隆さんだったから。ついさっきまで敦之さんの家族がいて、友人がいて、四人で鍋を囲んでたのに。
「はぁっ……」
笑い声がたくさんしてた場所なのに。
「拓馬」
「あっ……」
うなじにキスをされて、蕩けた声が今は響いてる。
「濡れてる……」
「ン、だって」
左手で乳首を可愛がられながら、右手はズボンと下着の中へと侵入してきて、すでに感じて濡れ始めていた俺のを撫でてくれた。
「あ、あ、あっ」
扱かれるとくちゅくちゅ音を立てて敦之さんの手を濡らしてしまう。
「二人っきりになれた、から」
蕩けてしまう。服を捲り上げられて、ズボンも下着も乱されて、後ろから愛しい人に肌を撫でてもらえたら、ドキドキしてしまう。
「拓馬」
体勢を入れ替えて、今度は敦之さんと向かい合わせで座り直した。
「ン……ふっ……っ」
抱き付いて、その首に腕を回して唇を重ねると熱い舌を差し込まれて、ゾクゾクとしたものが背中を撫でてそのまま下腹部に重たげな熱になって集まっていく。
「敦之さんの……」
手でズボンの上から撫でると硬くなってくれてた。
「しても、いいですか?」
「してくれるの?」
コクンと頷いて、敦之さんの首筋にキスをした。
「気持ち良くなって、欲しいです」
そう囁きながら、ズボンを乱してくれた敦之さんの唇に一つキスをしてから、硬くなって熱くなってしまった敦之さんのに優しくキスをして、咥えて淫らに舌を絡み付かせた。
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