四月十六日

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四月十六日

四月十六日 雨 今日は仕事の打ち合わせやらが長引いた。朝九時から始まり、解放されたのは夕方五時。昼はライスカレーを食べた。 さて、昨日の続きだが、私を見た的場は心底驚いていた。この男がこのような表情をするのは珍しい。確かにこの男普段は感情が顔に出やすい性質ではあったが、これ程に間の抜けた表情をしているのは初めて見た。私はそれが可笑しくてつい笑ってしまった。何だよと顔を赤くして猛抗議をする的場を見て見た目には弱弱しくなっていても、まだこの男たらしめるその血の気の多さというのか負けん気の強さは健在であると見て心底安心した。この男は何一つ変わっていないのだ。 私と顔を合わせた的場はどこかぎこちない。まぁそらそうなのだが。結局会大した話はせず、帰り際にまた来ると言って出てしまった。 帰り際看護婦に呼び止められ 「たまにでいいので、面会にいらしてださいね。」などと言われた。 看護婦は美人だった。
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