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腕の力が緩んで私を見下ろす、リョウの瞳には私が映っていた。
「私、今が一番幸せだよ。」
そう言った私に、彼は目を大きくして驚いたようだったけどすぐにふわりと笑って、おでこにキスを落とした。
「俺も今が一番幸せ。」
そう返事をした彼にそうだと思い出した私は彼の目を真っ直ぐに見つめた。
「ねぇ、覚えてる?」と言った私に、彼はすぐにニヤリとしてもちろん!と即答した。
ーそうだった。私は彼のこういう所が好きだったんだ。
不安だらけの愛が、確かな愛へと変わったような気がして私は、リョウの背中に手を回した。これからはもっと、もっと素直になろうとそう決めて彼の胸の中に顔を埋めた。
まずはどんなワガママで彼を困らそうか。
ーーーー。
「きっと、君の一番に俺はなって見せるよ」
「一番って何?もう一番だよ?」
「いや、まだだよ。僕にいつかすっごいワガママを言うようになったら、そしたら」
「そしたら?」
「君は俺の一番ってことを証明できるだろ?なぁ覚えててね」
「わかった。覚えてるよ」
(君のワガママを)(私のワガママを)
(いつか)
(聞けますように)(言えますように)
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