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まだ、マンションの契約期間が残ってるためお互いに一人暮らしをしている私たちは、大体のお互いのパターンを知ってはいたけれど、お互いがお互いを思いやり過ぎているのか予定がある日に会う約束をしないようになっていて、同棲もしくは結婚して一緒に暮らし始めたらどうなるのだろうかと不安に思っている面でもあった。
「今日は大丈夫なんだよ。お酒も飲んでないし、そっちまで迎えにいくよ。いつものお店?」
「あー今日は違うんだ。ちょっと違う悪友でして…でも駅は一緒だからロータリまで来てくれる?時間はまだかかりそうだよね?」
今の携帯は本当に優秀で周りの音もすごくよくひろう。彼側の盛り上がりは最高潮に達しているようで、すぐには出られないのは手を取るように分かった。内心こちらの音も向こうに筒抜けで嘘がバレるんじゃないかとヒヤヒヤしながら火照った体を壁にもたれてクールダウンさせていた。
「よく分かったな。多分行けるのは8時くらいになりそうだと思う。」
「大丈夫、リョウ待つの私好きだから。それなら待ち合わせ場所は変更!あのいつものカフェの2階にいるね」
ああ分かった。と言ってそれじゃと切れる前に聞こえてしまったのはリョウくんと呼ぶ女性の声で、慌てて切ったのかそれとも聞こえたことに気づいてないのかもう携帯の画面はトップ画面に戻っていて前に彼と旅行に行った時に撮った二人の写真が私を見つめていた。
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