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もう一度グラスを合わせて、飲み直しだとでも言うように、彼女は勢いよくビールを喉から流し込む。
「ユミ。今日はありがとね〜!ユミが来てくれなきゃ私、泣いてたよ」
「はは、アカリが泣いてるのは珍しいから逆にそれはそれで見たかったかも」
もぉーと言いながらも、ニコニコと笑う彼女の今日の収穫は良かったのだろう。因みに私はというと言わずもがなの結果。まぁ仮にもらったとしても次のステップには行かないから意味もないのだけど。
「えーとユミちゃん?はヒロと知り合いなの?」
アカリの心を射止めた男性が恐る恐る聞いてくるのに、私はキョトンとした表情になってからあぁと納得したように頷いた。
「うん。知り合いだよ」
そう口から出た言葉に、なんだか冷たい印象を覚えながらも取り消すことはできない。元カノですと言えないのなら、友達と表現するのはおかしいし、知り合いという言葉が一番納得出来るような気がしたからだ。
それに同意したのか、相変わらず彼の本音は分からないが知り合いの言葉にコクリと頷いた。
「大学の時の後輩なんだ。ほら外部サークルの」
「あぁ、そうかお前は外部サークルだったもんな。」
納得したようにコクコクと頷くと慌てたように、名前を名乗った。カイリ君と言うらしい。
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