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気付けばだいぶ時間が経っていて、時計を見ると夜9時を回っていた。
「うわ! ごめん、穂高君。結局こんな時間までつきあわせて」
「ホントだ。どうしよう、腹減った」
思いきり棒読みの言葉が、帰り支度を慌ててすませた私の耳に届く。なんか、前もこんなことがあったような気がする。
「わかったわよ、今からファミレスか居酒屋おごるから……」
「遅くなっちゃうのでいいですよ、店は。芦川さんお疲れだし、明日も仕事だし。コンビニで何か買って帰りましょう」
「コンビニでおごれ、と?」
「俺、そんなにたかり屋イメージですか?」
一緒に会社のビルを出た私たちは、駅の方へと向かう。駅周辺にあるコンビニで、サラダとお弁当でも買おう。こんな時間だし、おにぎりだけでもいいか。
そんなことを考えていると、隣を歩く穂高君が、
「芦川さん忙しそうだから、部長と今どんな感じなのかなかなか聞けないです」
と口を開いた。
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