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「今聞いてるじゃない。ていうか、なにも変わらずだけど」 「鰻食べに行ったり蕎麦屋に行ったり、昼メシ何回か一緒に行ってて、いい感じだって聞きましたけど。中嶋に」 「あぁ、昼食についてはホント。まぁ、打ち合わせも兼ねてだけど」  ていうか、中嶋ちゃんはスピーカーだな。べつに内緒にしているわけではないし、本当に八割方仕事の話なのだけれど。 「へぇ。着々と結婚に向けての階段をおあがりで」 「話聞いてた? そもそも、まだ交際も始まってないっていうのに」 「出た。“まだ”」  彼の嫌味にも、もう慣れてきた。相手をして反論するだけ無駄だ。流すのが一番。 「穂高君はいい人いないの? 合コンとか行ったら?」 「合コンなんて、時間と金の無駄にしか思えない」 「ていうか、元カノとはどこで知り合ったの?」 「合コン」  あくびをしながらそう返す穂高君を、白い目で見る。
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