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「だから、私にとっては若いんだって……って、あれ? これ、最近私も部長に言われた気がする」
「部長……」
笑っていた顔のままで静止した穂高君は、私をじっと見た。信号はすでに青に変わっている。
「部長にキスされたら、芦川さん、どんなリアクションなんでしょうね?」
「え? 部長に……?」
私の脳内で、瞬時に部長とのキスシーンが映し出される。交際申し込みの返事について真剣に考えてはいるし、もしOKなら当たり前にすることだろう。
そういう実感が急にリアルに頭を巡り、どうしようもなく恥ずかしくなってしまった。
「……うわ、顔、赤……」
「ちがっ、これは……」
「そして、そんなに慌てるんだ?」
弁解すればするほど大人げない反応になってしまう。からかっている穂高君の思うつぼだ。私はゴホンと大きく咳払いをして、気を持ち直した。
「ほら、信号青になったよ? コンビニ行こう」
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