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「いいです。やっぱり奢ってもらうのは悪いし、断っても芦川さん無理にでも奢りそうだから」 「は?」 「遠回りになるから、あっちのコンビニ行ったらどうですか?」  穂高君はパーにした手をこちらに向け、すでにバイバイするスタンバイだ。  私は拍子抜けしてしまって、 「あー……そう?」  と、間の抜けた声を返す。 「あっ! でも、今日はホントに助かった。ホントにありがとうね! お礼はまた」  そして、横断歩道を渡り始めた穂高君に、大声で付け加えた。彼は片手を上げてひらひらとさせただけだった。  
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