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「今日はよろしくお願いします」 「お、芦川君、いつもどおりイケメンだね」 「専務、私、女ですよ」 「ハハ。かっこよすぎて、うちの娘の婿にしたいくらいだよ。キミ、結婚まだだっただろ?」  専務のこの失礼な冗談は、いつもどおりだ。背中を思いきり上下に撫でられるのも、数秒の我慢。 「芦川君、大丈夫なんだろうね?」 「副社長、今日はお忙しいところお越しいただき、ありがとうございます。頑張ります」  今日は会社の重役たちも来ている。大手を取引先に取り込めるかどうかがかかっていて、ライフ部の……いや、会社全体の大きな損益に関わる大事なプレゼンテーションだからだ。 「芦川、ちょっと顔色悪くないか?」 「大丈夫です、部長」 「内容は資料を見せれば伝わるんだし、いざとなったら俺が変わるから、無理するなよ?」  最後に部長に肩をポンと叩かれる。
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