廻るオニオングラタンスープ

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遠い未来にやってくる絶望。別れ。『死』ということがなんなのか、あの時分にはまだ重すぎて持て余していた。そもそもそんなに深くわかってはいなかった。触れてはいけない話のように思えたからだ。よくわからなくて不安で、嫌な気分になる。嫌なことを想像するのは嫌なので遠ざける。なのに不思議と夜中、寝ている時にかぎってしまいこんだ感情が、心の深いところからムクリと起きてきて、暴走しはじめるのだ。死という存在を、私は恐ろしいお化けか何かだと思ってたのかもしれない。 両親に挟まれ川の字で眠っていると、どこからともなくじわじわと暗く重たい闇がやってくる。その闇が私に乗っかってくる。漠然とした闇。あらがいがたい闇。そいつに押しつぶされそうになる。そんな感覚。 その闇に包まれて一人ぼっちになってしまう。ずっと身動きがとれないまま。暗い闇の中。重くのしかかる恐怖は全身を覆い、まるで水風船のように膨れて私を推し潰そうとする。天井に届かんばかりまで膨れて大きくなる。でもよく見るとそれは、自分の体なのだ。自分の体のくせに重すぎて身動きがとれない。掛かっている布団ですら重くて、鉛でできているみたいだった。 胸が、お腹が、足が圧迫されて、自分の体ではないようだ。重くて重くて重い。痛い。苦しい。
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