シャボン玉と冷蔵庫

3/7
前へ
/7ページ
次へ
ふと頭をあげると、目の前に小さなシャボン玉が浮かんでいた。手を伸ばせば届く距離にある。 触れればすぐに()れるであろうそれを、何をするでもなくただぼんやりと見守った。 これが全て私の妄想なら、どんなによかっただろう。でもやっぱり、現実は残酷で。それは、私の脳が書き換えた物語などではなかった。 本当はずっと前から気づいていたのだ。 あなたにとって私は、有象無象のうちのひとりだということ。わかっていたのに、それでもずっと好きだった。それでもいいから、そばにいたかった。 馬鹿みたいだ。 自分の愚かさに、妙に笑えた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加