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ふと頭をあげると、目の前に小さなシャボン玉が浮かんでいた。手を伸ばせば届く距離にある。
触れればすぐに破れるであろうそれを、何をするでもなくただぼんやりと見守った。
これが全て私の妄想なら、どんなによかっただろう。でもやっぱり、現実は残酷で。それは、私の脳が書き換えた物語などではなかった。
本当はずっと前から気づいていたのだ。
あなたにとって私は、有象無象のうちのひとりだということ。わかっていたのに、それでもずっと好きだった。それでもいいから、そばにいたかった。
馬鹿みたいだ。
自分の愚かさに、妙に笑えた。
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