EP.2 夢の日のドラマ〜Thanks for the Dream〜

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2009年8月22日―― 夜7時―― 札幌市内にあるショットバー 【BLUE HEAVEN】 ブルーを基調にした店内 照明もいたるところがブルーで、清涼感を漂わせている 店主の趣味なのであろうか レトロな雰囲気を醸し出すかのように60年代を中心としたアナログレコードが壁一面に飾られている カウンター席の内側にはとりわけ目を引く大きな水槽があり、アロワナがゆったりと泳いでいる そのカウンター席には、土曜日の夜ということもあり、いつもの仕事帰りのサラリーマンではなくカップルが着いていた とても仲良さそうにお喋りしている 入口側には正方形のテーブル席がある その席に着いているのは一人の男性客 『…………』 男は外の暑さで捲っていたワイシャツの袖を几帳面に戻していた 整えられた短髪 シャープなメガネ 清潔なイメージが伝わってくる ワイシャツの袖のボタンをとめ終えると特に何をするわけでもなく店内を見渡す “……………” 別のテーブル席を拭いている一人の従業員 男はその従業員に目をとめる 若い女性 『……………』 何をどう告げようか言葉が見当たらない ふと―― 店の片隅にある重厚そうな造りのジュークボックスが男の視界に入る 典型的な樽型の外観が妙に目を引いていた 気を紛らわすワケではないが 『……………』 男は席を立ち上がるとゆっくりとジュークボックスに向かった そして ジュークボックスの前に立つ “…………” 男はコインを入れそのレコードのディスクナンバーをためらうことなく押した ディスクチェンジャーが動き出す――
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