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🎵Oh My Baby 横浜の姐や🎵
ジュークボックスの前に佇む男
🎵心からお前が好きだよLady🎵
曲に心を傾けるかのようにじっと聴き入っている
🎵涙をふいてよ My Angel🎵
ふと
思い出したかのように顔を上げた
🎵二人だけなら So Good🎵
それとともにゆっくりとカウンターの方に振り向く
🎵目の前にかすむチャペル🎵
『…………!』
エリと思わず目が合う
🎵二人立たずむスタジアム🎵
『…………』
『…………』
男の方はまったく視線をそらさない
🎵忘れないあの日の事🎵
“…………!?”
先にエリの方がそらしてしまう
🎵My Baby I Wanna Be Your Man……🎵
“どこかで会った事が……ある?”
🎵It's True……🎵
漠然とだがエリの脳裏に浮かんだ推測――
🎵I'm Gonna Miss You……🎵
『…………』
🎵If You Leave Me Alone🎵
男はゆっくりとカウンターへと歩み寄ってくる
🎵長い髪に口づけて🎵
“………誰だろう……?”
再び視線を合わせながら疑問を反芻させるエリ
🎵Oh!Don't Change Your Mind……🎵
エリと、そう年齢は違わないように見えるその男性……
🎵'Cos I Love You Forever🎵
記憶を巡らし辿り着く余裕すらなく
🎵だって何もかもいいじゃん……Babe🎵
男はエリの前に立つ
🎵That Is All I Have To Say……To you,Baby🎵
『いらっしゃいませ……』
『…………』
『……何か?』
『――注文いいでしょうか?』
『あっはい、ご注文のほうは?』
『「EMANON」をお願いします』
🎵Oh,My Baby 思い出の“Star Dust”🎵
『あ、ちょっとそれは――』
『あなたに作って貰いたいんです』
🎵波音に浮かびあがるHarbour Light🎵
『……………』
昨日の一部始終を見ていたのだろう
🎵どこから聞こえるのJuke Box🎵
“この人……最初から私に用があったんだ……”
🎵俺まかせなら“My Girl”🎵
『お願いできます?』
エリはチラッと葉山に顔を向ける
『…………?』
葉山も不思議そうな表情
『あなたの「EMANON」をお願いしたいです』
『正式なメニューじゃないですけど……』
もう一度葉山を見る
『……………』
頷いている葉山
『――かしこまりました』
カウンターの中に入るエリ
🎵秋風に舞うよな恋🎵
『……………』
男の真正面に立つ
🎵訪れる夜のSadness🎵
“どこかで……会ってる?”
最初は単なる憶測だった
🎵言葉などじゃ言えぬ“I Love You”🎵
『……………』
🎵My Baby,You Don't Understand What I Mean🎵
彼ともう一度、目を合わせると、その憶測が何故なのか現実味を帯びてくる
🎵I'm Gonna Miss You……🎵
〈シャカシャカシャカ〉
🎵If You Leave Me Alone🎵
『……………』
力を込めてシェイカーを振る
🎵お前だけに誓うから……🎵
その間も感じる視線
『……………』
🎵Oh!Don't Change Your Mind……🎵
“この人は少なくとも私のコト……知ってる……”
🎵'Cos I Love You Forever🎵
何がそう感じさせるのか上手く説明できない
🎵だって何もかもいいじゃん Babe🎵
〈シャカシャカ……〉
🎵That Is All I Have To Say……To you,Baby🎵
『……………』
『……………』
出来上がるカクテル
グラスに注ぎ込む
『――はい、どうぞこちら「EMANON」になります』
グラスを差し出されると
『ありがとう』
男は初めて笑った
『……………』
とても嬉しそうに
『いただきます』
静かにつぶやくように告げ、口に運ぶ――
『――おいしい』
『そうですか……ありがとうございます』
思ったよりも優しい男の表情を見てエリも少し安心した
『あっ――申し遅れましたが私はこういう者です』
『はい?』
何故か自己紹介を始めながら名刺を差し出す
受け取ると
名刺にはこう書かれていた――
『相模………翔……さん?』
エリが名前を読み上げると――男は視線を下に向けて肩を震わせていた
『…………?』
その姿はまるで――笑いをこらえているかのよう
『あの~何か?』
これにはたまらずエリも問掛ける
『あ、何でもないです……え~、私、実はジャーナリストなんです』
『ジャーナリスト……?』
確かに名刺にもそのような肩書きが記されている
『ちょっとあなたにお話をうかがいたい事がありましてね』
『私に……?』
『そうです――』
そして、男はエリの耳に信じられない言葉を残した
『少しの時間でいいんです…………“平塚エリ”さん……』
つづく
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