EP.2 夢の日のドラマ〜Thanks for the Dream〜

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🎵Oh My Baby 横浜の姐や🎵 ジュークボックスの前に佇む男 🎵心からお前が好きだよLady🎵 曲に心を傾けるかのようにじっと聴き入っている 🎵涙をふいてよ My Angel🎵 ふと 思い出したかのように顔を上げた 🎵二人だけなら So Good🎵 それとともにゆっくりとカウンターの方に振り向く 🎵目の前にかすむチャペル🎵 『…………!』 エリと思わず目が合う 🎵二人立たずむスタジアム🎵 『…………』 『…………』 男の方はまったく視線をそらさない 🎵忘れないあの日の事🎵 “…………!?” 先にエリの方がそらしてしまう 🎵My Baby I Wanna Be Your Man……🎵 “どこかで会った事が……ある?” 🎵It's True……🎵 漠然とだがエリの脳裏に浮かんだ推測―― 🎵I'm Gonna Miss You……🎵 『…………』 🎵If You Leave Me Alone🎵 男はゆっくりとカウンターへと歩み寄ってくる 🎵長い髪に口づけて🎵 “………誰だろう……?” 再び視線を合わせながら疑問を反芻させるエリ 🎵Oh!Don't Change Your Mind……🎵 エリと、そう年齢は違わないように見えるその男性…… 🎵'Cos I Love You Forever🎵 記憶を巡らし辿り着く余裕すらなく 🎵だって何もかもいいじゃん……Babe🎵 男はエリの前に立つ 🎵That Is All I Have To Say……To you,Baby🎵 『いらっしゃいませ……』 『…………』 『……何か?』 『――注文いいでしょうか?』 『あっはい、ご注文のほうは?』 『「EMANON」をお願いします』 🎵Oh,My Baby 思い出の“Star Dust”🎵 『あ、ちょっとそれは――』 『あなたに作って貰いたいんです』 🎵波音に浮かびあがるHarbour Light🎵 『……………』 昨日の一部始終を見ていたのだろう 🎵どこから聞こえるのJuke Box🎵 “この人……最初から私に用があったんだ……” 🎵俺まかせなら“My Girl”🎵 『お願いできます?』 エリはチラッと葉山に顔を向ける 『…………?』 葉山も不思議そうな表情 『あなたの「EMANON」をお願いしたいです』 『正式なメニューじゃないですけど……』 もう一度葉山を見る 『……………』 頷いている葉山 『――かしこまりました』 カウンターの中に入るエリ 🎵秋風に舞うよな恋🎵 『……………』 男の真正面に立つ 🎵訪れる夜のSadness🎵 “どこかで……会ってる?” 最初は単なる憶測だった 🎵言葉などじゃ言えぬ“I Love You”🎵 『……………』 🎵My Baby,You Don't Understand What I Mean🎵 彼ともう一度、目を合わせると、その憶測が何故なのか現実味を帯びてくる 🎵I'm Gonna Miss You……🎵 〈シャカシャカシャカ〉 🎵If You Leave Me Alone🎵 『……………』 力を込めてシェイカーを振る 🎵お前だけに誓うから……🎵 その間も感じる視線 『……………』 🎵Oh!Don't Change Your Mind……🎵 “この人は少なくとも私のコト……知ってる……” 🎵'Cos I Love You Forever🎵 何がそう感じさせるのか上手く説明できない 🎵だって何もかもいいじゃん Babe🎵 〈シャカシャカ……〉 🎵That Is All I Have To Say……To you,Baby🎵 『……………』 『……………』 出来上がるカクテル グラスに注ぎ込む 『――はい、どうぞこちら「EMANON」になります』 グラスを差し出されると 『ありがとう』 男は初めて笑った 『……………』 とても嬉しそうに 『いただきます』 静かにつぶやくように告げ、口に運ぶ―― 『――おいしい』 『そうですか……ありがとうございます』 思ったよりも優しい男の表情を見てエリも少し安心した 『あっ――申し遅れましたが私はこういう者です』 『はい?』 何故か自己紹介を始めながら名刺を差し出す 受け取ると 名刺にはこう書かれていた―― 『相模………翔……さん?』 エリが名前を読み上げると――男は視線を下に向けて肩を震わせていた 『…………?』 その姿はまるで――笑いをこらえているかのよう 『あの~何か?』 これにはたまらずエリも問掛ける 『あ、何でもないです……え~、私、実はジャーナリストなんです』 『ジャーナリスト……?』 確かに名刺にもそのような肩書きが記されている 『ちょっとあなたにお話をうかがいたい事がありましてね』 『私に……?』 『そうです――』 そして、男はエリの耳に信じられない言葉を残した 『少しの時間でいいんです…………“平塚エリ”さん……』 つづく
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