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🎵幸福は音もなく🎵
渚の隣に腰掛けるエリ
🎵風と共に去って行った🎵
『何でも聞いてあげるからね』
『…………』
🎵青春の灯は消えて🎵
『どうしたの?』
『…………』
🎵今は誰も愛せない🎵
『彼氏の悪口でも何でもいいよ、ぶつけて、ぶつけて』
🎵窓ガラスに映した……🎵
『…………』
目をまん丸くしてエリを見つめる渚
🎵抜け殻はYour dark eyes🎵
『………?』
🎵喜びに包まれた🎵
『不思議なんだけど』
🎵日々は戻って来ない🎵
『………渚ちゃん?』
🎵ドアに迫る靴音🎵
『――なんかどうでもよくなっちゃった』
🎵シャツをまくる指先🎵
『え?』
🎵この部屋に染みついた……🎵
『さっきエリさんの胸に飛込んで泣いたら』
『………うん』
🎵彼の想いが消えない🎵
『全部、飛んじゃった』
『え?』
🎵ビルの風にあおられ🎵
『もうヘーキかも』
🎵舞い上がるTicket to ride🎵
エリと渚……二人見つめ合う
🎵明日への乗車券が……🎵
『ハハハ』
『フフ』
🎵離れて消えた🎵
思わず笑いあった
🎵噂のLonely woman.Your baby's gone.🎵
『――私さ、エリさんの話、聞きたいな』
🎵物憂げな真冬の青空🎵
『え?』
🎵見上げれば涙が……🎵
『エリさんの恋バナ♪』
🎵また溢れそう🎵
『え!?私!?』
🎵誰もが Only human.We're all alone.🎵
『大人っぽいし、経験ありそうだし』
🎵想い出はすべてがまぼろし🎵
『わ、私は……あんまり話すほどの経験ないよ』
🎵The memories hant you.It's breaking your heart.🎵
『聞きたいなぁ~』
🎵互いに魅せ合えたひとは今……🎵
『う~~んそうだなぁ』
🎵…いない Ai,ai,ai…🎵
『じゃあ~質問その1♪』
『――な、何それ!?』
『初恋はいつ?』
『初恋?』
『うん』
🎵柔肌に頬寄せて🎵
『…………初恋かぁ……』
🎵愛の言葉囁いて🎵
『楽しみぃ~』
🎵時間を巻き戻せたら何も言わず抱きしめて🎵
いつの間にかベッドに寝っ転がり顔を両手の上に乗せて話を聞く体勢の渚――
🎵舞い降りた堕天使の群れ🎵
『……………』
『……………』
🎵今宵街はSnow white🎵
『初恋なんて綺麗なものじゃないけど――』
🎵新しい夜明け前の……🎵
『今にして思うと――そういうモノだったのかなって』
『?』
🎵夢を見ようか🎵
――『あなたに出会えて本当に良かった』――
🎵泣かずに Lady blue.Your baby's gone🎵
“…………”
🎵無情の悲しみに負けないで🎵
『渚ちゃん……』
『ん?』
🎵振り向けば未来が……🎵
『時間って本当に大切なんだよ』
『……時間?』
🎵また遠くなる🎵
『ある事を考えて過ごしてても、別のもっと大切な何かを考えてても平等に時間は流れてくんだよ』
🎵大人になって Romance. It won't be long.🎵
『……うん』
🎵慰めの言葉はないけど🎵
『思い続ける時間が長いほどその人への思いは強くなると思うんだ』
🎵You're hiding in shadows.It's making you cry.🎵
『ただ一緒に過ごしている時間と、思いながら過ごしている時間って全然違うんだよね』
🎵想い出は美し過ぎるから🎵
『お互いにそんな大切な時間を早く発見できたらいいよね……』
🎵…辛い Ai,ai,ai…🎵
『あっゴメンね、なんか分かりづらいかな』
『なんとなく分かる……かも』
『そぉ?』
『でも……もっと具体的な話を聞きたいかも』
『ハ、ハハ……』
『じゃあ~質問その2♪』
『ま、まだあるの?』
『今、好きな人はいますか?』
『――――!』
『おっ!反応アリ』
🎵噂のLonely woman.Your baby's gone.🎵
『…………』
🎵新しい恋をプレゼント🎵
『……いるんですねぇ~』
にやける渚
🎵凍える手のひらで……🎵
『…………よく……分からないんだ』
『……?』
🎵虹を掴もう🎵
『その人のコトばかり考えてるわけじゃないんだよ』
『?』
🎵誰もが Only human.We're all alone.🎵
『でも心の中で――心のどっかで考えてるんだろうなって――』
『????』
🎵サヨナラの代わりに“Merry Xmas”🎵
『逢いたいなって……』
🎵The memories haunt you.……🎵
『じゃあ~逢えばいいっしょ』
🎵It's breaking your heart.🎵
不思議そうに尋ねる渚にエリは優しく微笑む
🎵ほら耳をすませば雪が降る……🎵
『約束したんだ』
『約束?』
🎵…聴いて Ai,ai,ai…🎵
――『またここで会おうよ』――
『何て言うのかな……それが今の――私の心の支えっていうか』
『…………』
『夢っていうか』
『もぉ~~エリさんって謎めきすぎ!』
ベッドから起き上がる渚
『え?』
『結局、なんにも分からなかった~~』
『フフ』
『もぉ~私、寝る!明日早いし!』
『そうだね、おやすみ』
エリはベッドに腰掛けながら手を振った
渚はドアへと向かう
部屋のドアを開けようと手をかけながら振り向く――
『私なら連絡とるよ』
『?』
『その気になる人』
『…………』
『それと―――エリさん』
『何?』
『今日はありがとう――とっても嬉しかった――』
『……私のほうこそ』
『いつでも――私のハナシ聞いてね』
『――オッケー』
『………私達……』
『………ん?』
『……家族だよね……』
『……渚ちゃん』
『…………』
『そうだよ、家族だよ』
『………おやすみ!エリさん♪』
〈バタン〉
『……………』
エリはベッドから立ち上がる
『…………』
目についたのは
机の上のサザンのCD
――『あなたに出会えて本当に良かったです』――
今日の事が走馬灯のように駆け巡る
『……………』
手に取り
机の引き出しにしまおうと開ける
すると――
『あ!』
引き出しの中から現れたモノ
メモとCD――
メモは渚の字
〈エリさんへ 昨日はあんな態度とってしまってゴメンなさい〉
『……渚ちゃん……』
メモと一緒に置いてあるCD
〈原 由子 夢をアリガトウ〉
大切にCDケースを開け
デッキへと持っていく
そしてセットする
『……………』
――『私なら連絡とるよ』――
“しょうがないな……”
🎵チャーンチャーンチャーンチャーン🎵
曲のイントロが流れる
ケータイを取り出すエリ
『……………』
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