EP.3 風の日のドラマ~Good-bye to yo~

6/12
前へ
/42ページ
次へ
🎵風に戸惑う……🎵 棺を取り囲むように 親族達が並んでいる 🎵弱気な僕🎵 その棺に 各々が品々を納めていく―― 🎵通りすがる あの日の幻影🎵 『……………』 🎵本当は見た目以上🎵 人囲みの外からその光景を伺っている誠とヒロシ―― 🎵涙もろい……🎵 『……………』 🎵過去がある🎵 納棺用の供花を受け取り納める人々 🎵止めど流る清か水よ🎵 その順番が―― 誠とヒロシにも段々にまわってこようとしている 🎵消せど燃ゆる……🎵 『……………』 🎵魔性の火よ🎵 棺の中の栞 🎵あんなに好きな女性に🎵 白い花に包まれて 本当に眠っているかのように見えた 🎵出逢う夏は……🎵 チラッとヒロシに目を移す 🎵二度とない🎵 棺のほうをまばたきすらせず、じっと見つめている 🎵人は誰も愛求めて……🎵 『……………』 🎵闇に彷徨う運命🎵 誠に順番がまわってきた 🎵そして風まかせOh,My destiny🎵 供花を受け取り―― 棺の前に立つ 🎵涙枯れるまで🎵 “栞ちゃん……さよなら……” 🎵見つめ合うと……🎵 そっと花を置く 🎵素直に……🎵 続いてやって来るヒロシ―― 🎵お喋り……🎵 感情を抑えているのか 🎵出来ない🎵 それとも 感情を見失ってしまったのか 🎵津波のような侘しさに🎵 その表情は全く無かった 🎵I Know…怯えてる,Hoo…🎵 『……………』 🎵めぐり逢えた……🎵 “……ヒロシ……泣きたかったら……泣くんだ” ヒロシの心に必死で語りかけようとした―― 🎵瞬間から……🎵 ただ、じっと―― 🎵魔法が……🎵 ヒロシは棺の中の栞を見つめ続けている 🎵解けない……🎵 『俺が悪いんです……』 『………?』 🎵鏡のような夢の中で🎵 消え入りそうな か細い、かすれた声 🎵思い出はいつの日も……雨🎵 『……俺が……全部……悪いんです……』 “お前のせいなんかじゃない……” 『俺が栞を死なせたんです……』 目を閉じ口元を震わせながら下を向く―― 〈ぽん〉 ふいに肩を叩く手 🎵夢が終わり……🎵 『……ヒロシ君、君は悪くなんかないよ……』 栞の父 🎵目醒める時🎵 『君には本当に……すまない事をした』 『…………』 🎵深い闇に夜明けが来る🎵 『さぁ……栞のために“はなむけ”をしてやってくれないかな……』 『…………』 🎵本当は……🎵 手に持つ花を―― 🎵見た目以上……🎵 ゆっくりと 棺の中へ 🎵打たれ強い僕がいる🎵 栞の頬元に その花はそっと置かれた 🎵泣き出しそうな🎵 『…………』 🎵空眺めて……🎵 花を置いた手は―― すぐに下ろされる事なく頬の上で静止していた 🎵波に漂うカモメ🎵 その頬に 触れるでもなく―― 離れようとするわけでもなく―― 🎵きっと世は情けOh,Sweet memory🎵 置き去りにされた みなしごのように 🎵旅立ちを胸に🎵 残された理由すら飲み込めず とどまっている 🎵人は涙……🎵 そんな光景が たまらなく切なく映る 🎵見せずに……🎵 『……………』 🎵大人に……なれない🎵 ――『ねぇねぇ誠さん!』―― 懐かしい声が耳の奥に響く 🎵ガラスのような恋だとは🎵 ――『ヒロちゃんとは、高校時代から一緒なんだよね!?』―― 🎵I know…気付いてる,woo…🎵 ――『バンド組んでたのって本当ぉ~!?』―― 🎵身も心も……🎵 ――『いいなぁ~♪私も聴きたかったなぁ~』―― 🎵愛しい……🎵 ――『あっヒロちゃんのボーカルじゃなくて~、誠さんのボーカル!』―― 🎵女性しか……🎵 ――『でもさ』―― 🎵見えない……🎵 ――『ヒロちゃんって……………結構モテた?』―― 🎵張り裂けそうな胸の奥で🎵 ――『い、いや気になるんじゃないの!ただ、なんとなく、その…参考に、ね……』―― 🎵悲しみに耐えるのは……何故?🎵 棺の中の栞と―― 傍らで立ち尽くしているヒロシ 『…………』 “いつも……ヒロシの事ばかりだったね……” 🎵見つめ合うと……🎵 “ヒロシを……本気で愛してたんだね” 🎵素直に……🎵 “ヒロシも……” 🎵お喋り……出来ない🎵 目の前のヒロシは、いつの間にか手にあるモノを持っていた 🎵津波のような侘びしさに🎵 『…………?』 🎵I know…怯えてる,Hoo…🎵 それは封筒―― 先程、海から渡された封筒に違いなかった 🎵めぐり逢えた……🎵 『――――!』 🎵瞬間から……🎵 その封筒を 🎵死ぬまで……🎵 棺の中に納めた 🎵好きと言って🎵 『……………』 🎵鏡のような夢の中で🎵 “………ヒ、ヒロシ……?” 🎵微笑みをくれたのは誰?🎵 そして 🎵好きなのに泣いたのは何故?🎵 役目を終えるかのように 彼は棺から離れていった 🎵思い出はいつの日も………雨🎵
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加