EP.3 風の日のドラマ~Good-bye to yo~

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2009年―― 12月20日―― 誠の車の車内―― 『――で、ヒロシ、最近どうなんだ?』 『ん?“どう”って何が?』 『その――エリさんだよ――』 『あぁ……たまに連絡とったりするかな』 『電話で話したりするのか?』 『いや、メールのやりとりだけだな』 『メール!?それだけか?』 『そう……』 『会いに行ったりしないのか?』 『とても無理さ――札幌だし』 『その~何ていうか………会いたくなったりしないのか?』 『……………』 『…………?』 『誠――』 『?』 『俺………強くなってるかな……?』 『え?』 『――何でもない、忘れてくれ』 『……………』 『にしてもさぁ――誠とこうして二人きりで、って――久しぶりだよなぁ』 『まぁ~そうだな』 『…………ありがとな、誠』 『――な、何だ、急にどうしたんだよ、ヒロシ!?』 『だってさぁ……』 『……あぁ……まぁ今日は特別な日だから……な』 2006年―― 8月 名古屋市内の喫茶店 【Y-Y's Cafe】 アットホームな喫茶店―― 午後5時を過ぎ、まだ人通りも少ないせいか客はせいぜい5、6人 新聞を広げカウンターにどっぷりと腰かける中年の男 ケータイゲームで時間をつぶす高校生 禁煙の店と知って落ち着かない様子のサラリーマン そして…… ボックス席に座っている男女 店内に流れるBGMは夕方ののんびりとした雰囲気に心地良く響いていた
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