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🎵あれから10年も……🎵
『あの~一つ質問していいでしょうか?』
真理子はコーヒーをスプーンでかき混ぜながら正面に座っている誠に尋ねた
🎵忘れられたBig wave🎵
『どうして私が――?』
🎵遠くに揺れてる🎵
怪訝な面持ちの真理子に
誠は穏やかに微笑む
🎵あの日の夢🎵
『真理子さんは――栞ちゃんの親友だし、ヒロシとも面識があるから』
🎵渚に立てば🎵
『そうですけど……でも』
戸惑いながら視線を落とす
🎵二人だけのBig wave🎵
『…………無理を言って申し訳ないけど………他にいないんだ』
誠もつられて視線を落とす
🎵心に浮かんだ……🎵
『………誠さんでもダメなんですか?』
🎵大切なLove affair🎵
『俺じゃダメだった……』
🎵Oh,この胸に…🎵
『………私にできるんでしょうか……?』
🎵君を抱きしめて🎵
『きっと――上手くいく』
🎵Oh,もう一度あの頃に帰りたい🎵
そう言いながらコーヒーカップに口をつける誠
🎵瞳を閉じて🎵
すると――
🎵待ちわびてるBig wave🎵
『――お、来たな』
待ち人の姿が店の入り口に現れる
🎵その日を信じて……🎵
目を合わせると
その待ち人――ヒロシはゆっくりと近付いてくる
🎵お前だけを……🎵
『お前のほうから用事だなんてめずら――あっ!』
『やっほ♪久しぶり、ヒロさん』
🎵Oh,忘れられたBig wave🎵
先程までのこわばった表情と打って変わりニッコリ微笑む真理子
🎵遠くに揺れてる🎵
『真理ちゃんが、どうしてここに?』
🎵波音よ Once again🎵
『たまたまそこで会って、なんなら一緒に、って』
誠はいかにも偶然を装う
🎵Let me catch the wave that's breakin' high.🎵
『…………そ、そうか』
『まぁ、突っ立ってないで座れって』
🎵Oh,to make my dream come true.🎵
座席を一つ分空け、窓側に寄る誠
🎵Let me catch the wave that's breakin' high.🎵
『あ、あぁ……』
🎵Oh,to make my dream come true.🎵
席に腰かけるヒロシ――
必然的に正面の真理子と顔を合わせる
『ヒロさん、最近、調子どう?』
『うん、順調――真理ちゃんも――仕事のほうはどう?』
『病院の勤務も慣れてきたし――ただやっぱり夜勤はちょっとツラいけど』
『――そっか、大変だね』
『えぇ……』
『…………』
『…………』
『――あ、そ、そうだ彼氏とはどう?』
『そっちも順調♪』
『そっか……ハハ』
『そうそう………』
『…………』
『…………』
思い付いた限りの話題が出てしまい
すぐに止まってしまう会話
以前から
二人の話題の中心に必ずあった名前――
『……………』
『……………』
記憶の奥深くに沈んでいたその名前をすくいあげる時――
多くの非情な思いもまた引きずり上がってしまう
『……………』
『……………』
『ヒロさん………』
『………ん?』
『何で……その………』
『…………?』
『栞のコト……避けるの?』
『……………』
『栞のコト……忘れたいの?』
『……………』
『確かに、前に進めない気持ちは私にも分かる……でも……』
『…………』
『……でも……』
『……………』
『ヒロさん………』
『…………』
『…………お願い………』
『……?……』
『お墓に……行ってあげて……』
『……………』
『お墓に一度も行ってあげてないなんて……悲しいじゃない……』
『……………』
『私から言える事は……それだけ』
『……………』
『……………』
『………真理ちゃん………ゴメン……』
『……………』
『だけど………』
『………?』
『……栞は……あそこにいないんだ……』
『…………ヒロさん………』
『もう……どこにもいないんだ……』
『…………』
『…………』
〈ポツン……ポツ……〉
外では雨が降り出し始めていた
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