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🎵あんなに大きな……🎵
満足そうに石畳に腰を下ろす海
🎵ドラマで始まる恋なのに🎵
膝をゆっくり抱き寄せながら曲に心を傾ける
🎵時間のうつろいは夢を待てない🎵
肩を揺らしながら――
🎵嘘でもいいから……🎵
‘つま先’でリズムをとりながら――
🎵あの日の二人に帰りたい🎵
『……………』
🎵雨の音さえも何故につれないそぶり🎵
“ねぇお姉ちゃん……嬉しい?”
🎵可愛い睫毛の先まで恋焦がれてた🎵
『…………』
🎵もう一度だけ口づけして🎵
返事などない――
🎵心酔わせた人よ🎵
心の中だけの問掛け――
🎵あの夏の恋が……🎵
“……………”
🎵想い出にかわる🎵
今まで何度も繰り返してきた事
🎵惨めになるほど……🎵
これから何度も繰り返していく事
🎵涙でいっぱい……🎵
『…………』
🎵サヨナラはいつも……🎵
自分でも分かっている
🎵言葉にならない🎵
『…………』
何も変わらない事を
🎵愛無き……🎵
《栞 享年二十三 才》
🎵子供のような慕情🎵
目の前の墓石に刻まれた文字のように
『……………』
🎵死ぬ程愛して🎵
“でもさ……”
🎵せつない言葉で抱きしめて🎵
“いつまでも……悲しんでばかりじゃいられないもんね”
🎵願い叶うなら空の果てまで🎵
――『はい。海に誕生日プレゼント』――
🎵ごめんよ本当は……🎵
――『わぁ~サザンのしーでぃーだぁ~!!』――
🎵世界で一番好きなのに🎵
――『このアルバムって、今日発売したんだよ』――
🎵それが言えなくて🎵
――『じゃあ~わたしとおんなじ?』――
🎵涙溢れるばかり……🎵
――『そうだね、海と同じだね』――
🎵指折り数えた……🎵
――『おねぇちゃん、ありがとう………あ……』――
🎵星さえ滲んで消えた🎵
――『どうしたの?海?』――
🎵遥か遠く……🎵
――『おねぇちゃんのは?』――
🎵小舟のように🎵
――『あっ、いいのいいの、また買うから……』
『…………』――
🎵面影だけが……🎵
――『?』
『…………いらない』――
🎵揺れる……🎵
――『……フフ……』――
🎵あの夏の恋が……🎵
――『いいんだよォ~海』――
🎵想い出にかわる🎵
――『でも、おねぇちゃんが……』――
🎵海啼くカモメは🎵
――『………海はいいコだね』――
🎵答えてくれない🎵
『…………』
🎵サヨナラはいつも……🎵
――『でも、これは海のために買ったんだから、ちゃんともらってね』――
🎵言葉にならない🎵
――『でも……おねぇちゃんが……』
『……その変わり、一緒に聴かせてね』――
🎵凍える……🎵
『…………うん♪』
🎵枯れ葉のような無情🎵
“…………”
姉はいつだって優しかった
🎵秋の夜更けは悲しく🎵
どんな時でも自分の味方だった
🎵最後のキッスは……🎵
――『おねぇちゃん、これ、なんてよむの?』――
🎵永遠だから……🎵
――『〈ヤングラブ〉って読むんだよ』――
🎵これ以上……🎵
――『〈やんぐらぶ〉?』――
🎵恋に溺れない🎵
――『それがアルバムのタイトルなんだよ♪』――
『…………』
🎵あの日見た空が……🎵
“お姉ちゃんからは、色々なものをたくさんもらったなぁ……”
🎵まぼろしにかわる🎵
“結局、何一つ返せれなかったけど……”
🎵苦くて淋しい涙でいっぱい🎵
“でも、私、思うんだ”
🎵サヨナラはいつも……🎵
“もしもお姉ちゃんが生きてたら”
『…………』
🎵言葉にならない🎵
“きっと……今より、もっと、もっとたくさんのモノもらっちゃって……”
🎵愛なき……🎵
“お返しが大変なんだろうなって”
🎵子供のような……🎵
『エヘッ…』
🎵慕情……🎵
いたずらっぽい笑みを《姉》に向ける
“きっと私、返せれないよ……今以上にね……”
ふっと――
笑ったその後に
“きっと……そうだよ”
笑みが段々と――
『…………』
真剣な表情に変わっていく
“だから……これ以上、もらうのは……”
そっとバッグに手を伸ばす
“これ以上もらうのはね……”
バッグから《姿》を表したものは――
『…………』
一つの封筒
“これ以上もらうのは……”
『…………』
〈ジージー……ジー……〉
“辛いんだよ……”
その封筒に記された文字を無表情に眺めていた
『…………』
開けようともせず――
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