それはお母さんの趣味です

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 私が男の子向けのおもちゃに興味を持ったきっかけは、息子を産んだことでした。  女系家族で育った私にとって、男の子向けのおもちゃはそれはそれは新鮮に映ったのです。ブロック、車や電車の模型、プラモデル……どれも面白そう。ロボットやドローンもいいなあ。息子がもう少し大きくっなったらこういうので一緒に遊ぼう、と張り切っていました。  ところが、息子の彰は私が目をつけていたおもちゃに全く興味を示さなかったのです。うさぎのぬいぐるみが大のお気に入りで、そのぬいぐるみのための服を欲しがりました。私が裁縫をしていると、「自分もやりたい」と言って、ぬいぐるみの服を作り出しました。ヒーローもののアニメもちっとも見ず、服も青や緑色は嫌がり、赤かピンクか黄色じゃないと着ません。ランドセルも赤色を選びました。  息子の趣味については、息子が満足していればそれでいいのです。しかし、私には男の子向けのおもちゃへの未練が残りました。プラモデル面白そうだなあ……と電気屋やおもちゃ売り場に行く度に思いました。よく見たら、プラモデル売り場には大人の男の人もたくさんいます。プラモデルは組み立てが大変そうだし、大人向けのものかもしれない。いや、息子だってあんなに我が道を行く趣味をしているのだから、自分がやってみてもいいじゃないの!と急に開き直ったのです。  そそくさとプラモデルの箱を抱えてレジに向かいました。だけどいざお会計になると、 「息子の誕生日プレゼントなんです。へへ」  とレジの店員さんになんとなく言ってしまいました。男の子向けのおもちゃが面白そうでつい欲しくなったなんて、なんとなく恥ずかしいじゃありませんか。   夫には「彰が喜ぶかと思ってだいぶ前に買っておいたんだけど、彰が興味もたなかったから私がやることにしたの」と説明しました。  そして、プラモデルを作ってみたらこれが面白く、大はまりしたのです。ホームセンターでニッパーやエアブラシなどの工具を買い揃え、プラモデルの元ネタになったアニメをスマホでこっそり見て、次に買うプラモデルの目星をつけていました。
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