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ぬるい。
あまりにもぬるすぎる。
お母さんが健康ブームに乗っかって始めた半身浴というやつは私には正直合わなかった。
お風呂ってあっついお風呂にさっと入るのが気持ちいいのに。
入った瞬間に心臓がばくばくして。体の緊張が一気にほぐれて。
今日一日の疲れを「はあ~っ」とはき出すのが気持ちいい。
そのあとはのぼせるくらいじっくりと汗と疲れをだしてくらくらしながら牛乳を飲むのがたまらないのになあ。
まあでも、確かに健康にわるいよなあ、それ。
そんなことを考えながら私はぼんやりとバスソルトの成分表を眺めていた。
「クラスの友達はこういうの好きなのかなあ」
ぼんやりと湯船につかりながらそうつぶやいていた。
修学旅行の銭湯にいった時の記憶を思い出す。
そこのお風呂はそれこそおじさんや私が大好きなお風呂の温度だった。
私はいつもどおりにお風呂を楽しんでたら
「由香っておじさんくさいよね~」
とからかわれたときはかなり恥ずかしかった。
そんなにおじさんかなあ。わたし。
なんて過去の思い出に浸るくらいしかこのお湯には「楽しみ」がない。
もっとお風呂ってのはわくわくするものじゃないと。
謎の持論が確立する頃には30分が過ぎていた。
そろそろ上がるとご飯ができてるかなあ。
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