母の呪い

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 それから、玲奈はおばさんの元で修行に励み、一人前の妖精としてデビューしました。一人前の妖精とは言っても、昨今妖精の仕事だけで稼げるものは一握りで、プロのほとんどはおばさんのように生まれたときから妖精である人だそうで、今のところは会社員との兼業です。それでも、妖精の仕事にやりがいを感じています。自分でも思ってもいなかった力を使えるようになりましたし、人から感謝されることもあります。そして人から必要とされる、と実感できることは、すごく幸せなことでした。おばさんからも、いつかプロとして生活できたらいいね、と言われました。そして、玲奈にとって、おばさんはもう一人のお母さんでした。  玲奈は時々、灰子だった時の記憶がよみがえります。成長した玲奈は子どもの灰子のころとは見違えるほどキレイなりましたが、彼氏はおろか、男友達も少ないのです。だって、男の人を見ると、未だに上手く話すことができません。あの時の記憶がフラッシュバックして、脳裏に蘇ってしまうのです。良く体が石になったように、動かなくなってしまうこともあります。それでも少しずつ少しずつ、男の人と話せることもあります。  そして、お母さんのことを思い出します。淡々とした興味と、心の深い部分の愛情でもって思い出しました。自分の命を賭して守ってくれたお母さん。もっと優しくされたかった。色んなことを話したかった。色々なことを知りたかった。1000年前の世界はどんなだっただろうと、私を怒っているとき、どんな気持ちだったのと、もっとおんぶしてもらえば良かった。そして、いつか自分の子どもを見て欲しかった。  そんな時、玲奈は静かに紅茶を飲みながら、編み物をしているおばさんの横で、丹精して育てたバラなどを眺めて思いに吹けるのでした。    
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