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「失礼します」  彼女は小さくお辞儀をして部屋に入ってくる。やはり若い女性と部屋で二人きりになるのは、いくつになっても緊張するものだ。 「それじゃ、そのソファにかけて」  彼女に向かったまま、私はソファを指さす。が、彼女は首を横に振る。 「いえ、すぐ済みますので、このままで」 「あ、そう」  よく分からないが、まあ、彼女がそう言うのなら立ち話もよかろう。ただ、いずれにしても、これはやっておかなくてはならない。最近セクハラだのなんだの色々五月蠅(うるさ)くなってきているので。  私は棚に置いてあるICレコーダーを取り上げる。 「会話を録音させてもらうけど、いいかな」 「ええ、もちろん。むしろそうしてもらえた方がありがたいです」 「分かった」  早速私はレコーダーのスイッチを入れ、胸ポケットに入れる。 「で、話って?」
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