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式場に着き私達女三人は早く百合のウェディング姿を見たくて急ぎ足、夢は初めてお嫁さんを見るので跳び跳ねる様に控え室に向かいました。
男三人は後から付いて来ましたが、主人の緊張を和らげる婿二人の姿が滑稽でした。
その三人に 振り向き、桜が
「初めてじゃあるまいし、三度目でしょ?それに誰もお父さんなんか見てないよ!主役は百合だから!」
「何度だって緊張するんだよ!人前で歩くのは!」
主人も負けじと言い返しています。
私達は呆れながら百合が待つ部屋のドアを開けました。
真っ白な壁に曲線のガラスが嵌め込まれた窓からは青々とした木々が見えます。そこから穏やかな日差しを背中から浴びた純白のウェディングドレス姿の末娘を見て。目が熱くなりました。
夢ははしゃぎ回って、姉二人は感激をしています。
百合が私に向かって何か言いたげだったので側に寄ると。
「お母さん、お腹すいちゃった」
「えっ?そこにサンドイッチ用意してくれてるじゃない」
その時、やっと男三人が入って来て。そして百合が言った言葉は…。
「なんかさぁ、冷やし中華食べたいんだよね」
一斉に全員固まってしまいました…。
又、長女の桜が
「まっ!それは追々で…」とひきつり笑いをしています。
主人が小さく「三人か…」と呟くと両脇に立っている婿二人は申し訳なさそうに頭を下げています。
夢が「みんなどうちたの?百合お姉ちゃんきれいだね」とむじゃきに笑っていました。
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