多重人格恋愛

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多重人格恋愛

極度のあわてんぼう&あがり症である主人公(男30歳界隈)は、 容姿端麗であるが、その性格が故に、たびたび、大慌てで問題行動を起こしてきた。 それを避けるために、精神科に通い、新薬である精神薬を常用することに。 すると、見た目同様のイケメン人格になってしまった主人公。 それからというもの、あまたの女性にモテまくる人生。 しかし、それまでの人生での失敗経験や、薬が切れると元に戻ってしまう 本来の自分に自信がないことから、女性を遠ざけている。 ある時、自分を慕ってくる後輩女性(ヒロイン)が、精神安定薬が切れたときの 自分と会ってしまう。 大慌てをして、逃げ隠れするが、運悪く鉢合わせてしまい、 自分の正体がばれてしまう。 しかし、主人公は、咄嗟に、双子の兄弟だというウソを言う。 近隣で勤めている。兄がいつもお世話になっていますと。 何らかの理由で、ヒロインと主人公は、居酒屋に行くことになる。 主人公は、自分の正体が割れるのではと思い、何とか逃げようとするが、 やむを得ない何らかの事情で、行かざるを得なくなる。 (何か考える) 小さなことで、めちゃめちゃ慌てたり、取り乱したり、 仕草もへんてこりん(笑) クスクスと笑われて、お兄さんに全然似てませんね。と言われてしまう。 その後、たびたび、ヒロインに誘われて、デートらしきものをする ようになる。 主人公は、初デートの際に、断ろうと思っていたけれど、 もしかして、この挙動不審な自分を初めて好いてくれた人なのかもしれない と思い、意を決して、誘いに乗ってみる。 そのあとも、たびたび出かけることになる。 その間も、会社では、クスリを飲んでいる性格もイケメンな自分と ヒロインは、渡り合っている。 会社で、弟のことを聞かれる。 あいつは、あの通りだから、喜んでいると思う。 ぜひ、仲良くしてやってほしい。。。 などと、ほざく。 ヒロインも、なぜか嬉しそうだ。 その間も、自分の正体が、何度かバレそうになって、 コメディーちっくに、それを回避する。 あたふたしている感じ。だったり、とんでもない方法で回避したりして、 笑えるように。 そんなある日、ヒロインと弟である主人公とのデートで、 ヒロインに大事な話があると切り出される。 もしかして、告白の類ではないかと、期待してしまう。 しかし、結果、残念な話を聞かされる。 自分は、お兄さんが好きだ、だから相談に乗ってほしいと。 やっぱりそうかと肩を落とす。 この子も、精神薬を飲んでいる架空の自分が好きなんだ。と。 お兄さんに意中の人はいないか、相手がいないか、知りたいと言われるので、 それとなく聞いておくよと、返事をする。 会社で、ヒロインと会うと、普通に挨拶をする。 この子は、今の姿の自分のことが好きなんだと思ったけれど、 やはり、嬉しいとは思えなかった。 少し恥ずかしそうにして見てきたから、少し照れてしまうけれど、 でも、すぐに我に返って、本当の自分は、あの弟なのだと分かったら、 気持ちが離れて行ってしまうだろうと、寂しく思う。 そのあと、弟としてヒロインに会ったときに、 兄は、意中の人がいる。けれど、それは日本にいない人だ。 などと、ほざいてしまう。 ヒロインは、告白しても無理そうか聞いてきたので、 兄は、長年、その人を好いているから、きっと難しいと思う と言う。 その日本にいない人というのは、主人公が小さい頃に大好きだった ハーフの美人グラマラス女優で、今はハワイに移住している人のことだ。 その女優は、結婚して子供もいる。 ただ、昔好きだった女優のことを頭に思い描いて、それをモデルに適当に 嘘をついただけだった。 ヒロインは、肩を落とす。 主人公は、焦って、兄は、実は、そんなに大した男ではないから、 そんなに落ち込まないで……。 と言うと、ヒロインが怒る。 そんなことない!お兄さんは、すごく素敵な人。 真面目で優しくて、いつも、周りに気を配って・・・。 大した事ないなんて、あなたが言わないで! と言ってしまう。 言って、ハッとして、ヒロインは、口を覆う。 ごめんなさい。 と謝ったけれど、弟(?)である主人公は、これまた 慌てながら、き、気にしないで……。別に、 僕は、こういうこと慣れてるから……。 それより、ごめんね。辛い思いさせて。 と言って、とぼとぼと帰ってくる。 その時に、主人公は、思わず泣いてしまう。 これまでの人生の幾多の失敗を思い出して。 ポツポツ雨が降ってきて、そして、急に、ザーザーぶりになる。 こうやって、運も悪いしな!と、半ば、キレ気味に ヤケになって、あーーーーー!と叫びながら、走って家に帰る。 なんだあいつは、と指を差される。 家に帰って、薬を眺める。 これが、憧れのお兄さんになる薬だ。 と言って、眺めたあと、ゴミ箱に捨てようとする。 しかし、いかん。これを捨てては、まともに生活が送れなくなる、 思いとどまる。 その時に、LINEにメッセが入る。 さっきは、ごめんなさい。とただ一言だけ。 こっちこそ、役に立てなくて……。 と返事を返す。 すると、ヒロインから、お兄さんも交えて、 三人で会いたいと言われてしまう。 主人公は、超絶焦る。 それは、無理だと即答。 何故?と帰ってくる。 兄は、俺のことが嫌いだからだ。 と訳の分からない返事をする。 え、嫌われてるんですか……? と言われて、 そうです。 と返事すると、それから、LINEが一切こなくなる。 そして、デートのお誘いも無くなってしまった。 きっと、兄に嫌われてると言ったことで、 もう自分が役に立たないと思われて、 見捨てられたのだろうと、主人公は感じる。 それから、会社でヒロインに会っても、何だか、 元気がなさそうだ。 辛くなってきた主人公は、兄として、ヒロインを誘うことにする。 弟が何か失礼なことをしたんじゃないかって心配してたから。 と聞いてみると、 そんなことないです。と言って、あまり口を開いてくれない。 そのあと、何を聞いても、あまりに何も話してくれないものだから、 兄としての主人公は、お詫びと言っては何だけれど、 といって、遊園地のデートに誘う。 すると、ヒロインは、一転、笑顔になり、目が輝く。 思わず、本人としてデートに誘ってしまった主人公は、 前日の夜、大慌てで、何かまずいことを言いやしないかとか、 途中で薬が切れやしないかとか、アワアワとしながら過ごす。 翌日、キリっとした様子で待ち合わせ場所に現れる主人公(笑 やってきたヒロインは、とても嬉しそうに手を振る。 弟としての自分とのときとは、エライ違いだなと思いながら、挨拶をする。 終始、楽しそうな笑顔のヒロイン。 ヒロインは、本当に好きなんだなと感じさせるような笑顔を ずっと向けてくる。 ずっとそんな笑顔を向けられていると、ついつい、 自分自身のことを本当に好きなのではと、主人公は錯覚してきてしまう。 途中で、その遊園地の変なマスコットキャラのキーホルダーを 買うことになって、お互いの鞄につけることになる。 つけて、大の大人がこんなのつけて馬鹿みたいだと、笑いあう。 そんな時に、弟としての自分はどう思っているのだろうかという 疑問が生じてくる。 ヒロインのこれまでの言動を見て、どう見ても、良い印象ではないだろう と思っていたけれど、それでも、思わず、聞いてみたくなった。 こんなに笑顔で接していてくれるのだから、 弟としての自分も、ある程度は、好意を持ってくれているのではないかと 感じて。 観覧車に乗って、二人きりで話をしやすい場面になって、 主人公は、思い切って聞いてみる。 すると、ヒロインは、 弟さんは、一緒にいて、友達みたいに楽ちんです。 と言われてしまう。 それってどういう意味だと聞いてみると、 なんだか、緊張しないというか、女友達と一緒にいるときの感じです。 と言われてしまう。 完全に、異性として意識されていないということだ。 もっと突っ込んで聞いてみる。 もし、弟と付き合うとなったら、どう思う?と。 すると、ヒロインは、なんと、爆笑をし始めてしまった。 ごめんなさい。と言いながらも、笑い止まない。 ごめんなさい。想像したら、何だか、面白くなっちゃって。 と言う。 勿論、主人公は、ショックを受ける。 観覧車は、まだ頂点の手前だ。この観覧車が、早く、地上に戻ってくれないか、 祈った。 その時、なんと、薬が切れてきてしまう。 症状が出てきてしまう。 ちょっと様子のおかしい主人公に、ヒロインは、はてなマーク。 主人公は、ごめん、ちょっと調子が悪くて……。 と誤魔化すが、段々、誤魔化すのが難しくなってくる。 ボロが出ないように、なんとか黙ってその場を凌ぐ。 ヒロインが、気づくか気づかないかというところで、 観覧車は、地上に降り立つ。 急いで、主人公は観覧車を飛び出すと、 ちょっと、待っててごめん!と言って、どこかへ消えて行ってしまう。 主人公が消えた先は、男子トイレだ。 顔を洗って、鏡の中の自分の顔を覗き込む。 なんで、薬が切れたんだ?と疑問に思う。 ちゃんと、8時間、今日1日は、もつ量は飲んでいたというのに。 こんなことは、そうそうない。 大慌てで、持ってきた予備の薬を鞄から取り出そうとして、 トイレの地面に、カバンの中身をバラまいてしまう。 そのバラまかれた荷物のなかを、慌てて薬を探していると、 入ってきた来園客に、おいおい、何やってんだよと嫌がられる。 薬がないので、仕方なく、弟のフリをして、 ヒロインに事情説明をしに行くことにする。 服装が一緒では、バレてしまうので、 適当に、遊園地で売っている服を買ってみつくろう。 遊園地の服が、子供向けのとか、変な服ばかりで、 とんでもない服装の弟になってしまったけれど、 それよりも、置いてきたヒロインのことが気になって、 主人公は変な服のままヒロインを探す。 すると、ヒロインは、観覧車の近くのベンチで一人座っていた。 2台持ちにした兄としてのスマホを見ると、ヒロインからの 着信やメッセージがいくつも入っている。 そのスマホの電源を切って、弟として近づく。 弟としての主人公に気づいて、ヒロインが驚いていると、 兄は体調が悪くなって病院にいると、主人公は言う。 ちょっと、人には言いたくない持病を持っていて、 君には、それを見せたくなかったらしいんだ。 だから、黙って消えてしまって、ごめん……!……と言ってた。 と言う。 ヒロインが驚いた様子で、病院って大丈夫なの?と聞くと、 大丈夫。大丈夫だけど、……見られたくないんだ……と言う。 ヒロインの頭の上に疑問符が出たところで、 ヒロインは、気づいてしまう。 弟である主人公の鞄に、例のキーホルダーが付いていることを。 遊園地のマスコット、~~君みたいなやつが。 ヒロインは、それを見て驚いて、 鞄が、兄である主人公と一緒だと気づく。 そして、良く見ると、靴も一緒。 (アイスクリームを食べて、溶けて、少し落ちて慌てたみたいな フリを作っておいて、アイスクリームの色が少しついているとかを 証拠にする) そして、主人公が何かの拍子に手をぶつけて、親指の爪が一部、割れてしまった のに、ヒロインは気づいていたが、その指に同じ亀裂が入っている。 そして、観覧車での慌てざまを見て、 兄と弟が同一人物だと悟ってしまう。 ヒロインは、それを受け入れがたい。 うそ……。信じられない。うそ……! と言って、後ずさりして、その場から走り去ってしまう。 始めは何が起きたのか分からなかった主人公だけれど、 キーホルダーが金具にぶつかる音がして、気づく。 取り外すの忘れてた……と。 とうとう、ヒロインに兄と弟が同一人物だとバレてしまう。 翌日、会社に行きづらかった。 ヒロインに嫌われたのでは、という思いと、 もしかして、皆にバラされたのではという考えが交錯する。 意を決して、会社に行ってみると、みんな、これまで通りだった。 ただ、ヒロインだけは、出社していなかった。 理由を聞くと、風邪をひいたと言う。 心配になって、連絡を取ってみる。 しかし、電話には出ない。 周囲に、ヒロインのことを周囲に聞いてみると、 実は、ヒロインは、かなり悩んでいたという。 その内容は、地方にある実家の父親が病気で倒れて、 母親一人で何とか切り盛りしていたけれど、老舗旅館であるから 母親一人の不十分な経営に、古株が不満を持ち始めていた。 一人娘であるヒロインが家業である老舗旅館をつぐ方向で話が進んでいたというのだ。 それで、あったこともない人と見合い結婚をさせられそうになっていた。 それが嫌だったヒロインは、お父さんが認めるような人を絶対に 連れてくるからと言って、猶予をもらっていた。 実家の父親は、とても厳格だ。 しかも、老舗旅館は、相当の由緒ある高級旅館だ。 ヒロインは、それなりのハイレベルな男を連れてこなければならなかった。 主人公は、それがヒロインが兄としての自分を好いていて、 言い寄ってきていた理由が分かった。 確かに、薬を飲んでいるときの俺は完全無欠だ。 そんな由緒ある老舗旅館を任せるには、ばっちりだろう。 しかし、弟である俺だったら……。 ヒロインは、それで絶望したのだろうと悟る。 弟としての主人公は、デートを重ねたことで、 それなりにヒロインに気持ちが傾いていた。 というか、気になりまくりだった。 正直、今の仕事にこれといった思い入れもないし、 この先、弟としての自分を認めるどころか、 二人で出かけてくれるような相手に会える気もしない。 例え、兄に近づくためだとしても、 曲がりなりとも、二人きりで何度もデートをしてくれた相手だ。 大慌てして、いくつも失敗しても、笑ってフォローしてくれた。 そのことを思い出して、何とか、ヒロインを助けられないかと 考える。 その夜、ヒロインの家だと聞かされていた辺りに出没する。 勝手に家を探り当てて、呼び鈴を鳴らす。 なんで家に?と驚かれる。 突然、失礼だとは思ったのだけれど、連絡がつかなくて。 と主人公。 そのあと、気まずい空気が流れる。 主人公が口火を切る。 嘘ついて悪かったと。 俺は、弟でもあるし兄でもある。 無言で聞いているヒロイン。 君も、あんな俺を見たら、隠したい気持ちも分かるでしょう。 それも無言で聞いているヒロイン。 こっちの俺が本物だったら良かったのにな。 ヒロインは、無言のまま。 老舗旅館も安泰だったろうに。と言うと、 ヒロインは、え?と主人公を見る。 この完全無欠な兄の方の俺だったら、父親に認められると 思ったんでしょ。 と言うと、 何でそのことを。 君の友達から聞いた。 無言。 この俺は、1日8時間しかキープできないけれど、 君の役に立てるならば……。 8時間……? そう8時間。ピッタリ8時間。残業できない男だけど。 そういえば、先輩……、仕事を完璧に終わらせて、 絶対に残業しないって、噂になってた。 凄い人なんだって。 それを言ったあと、少し沈黙が続いてから、 二人で笑い出す。 私、先輩のように、残業しなくていいぐらい 仕事が出来るようになろうって、入社したときから、 ずっと目標にしてたんです。 その先輩がまさか……。 と言って、また笑い出す。 私、実家の旅館のことが無かったら、弟さんのことも そんなに嫌いじゃないかも……。 え? 私が先輩のこと好きになった理由って、あれなんです。 あれ? ヒロインが、見た先には、部屋の猫のぬいぐるみがある。 そこで、回想シーンか何かになって、 主人公が、昔、捨て猫か何かをなでて、周りをきょろきょろとして 誰もいないことを慌てた様子で確認しながら、嬉しそうに持ち上げて、 連れて帰っている様子。 それから、別の日の帰り道で、猫の砂を買っている姿を見かけたり、 猫の缶詰を難しい顔をしながら、一生懸命、見比べて選んでいる姿。 クールで完全無欠そうに見えて、 とっても、愛情深い姿を見て、ギャップのせいか、すごく良い人に 見えてしまったのだ。 考えてみれば、弟としての主人公は、沢山の失敗をしながらも、 いつも自分を気遣ってくれたり、優しくしてくれたことを 思い出して、もしかして、自分はあっちの方の先輩を好きになったのかな? とヒロインは思い出す。 今度、猫ちゃんに逢わせてください と言うと、 え、なんで知ってるんだ!?と驚く。
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