唐菖蒲

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唐菖蒲

「ねぇお兄ちゃん。覚えてる?この話の続き。」 そう言ってアヤメは、僕の前にくしゃくしゃの台本を差し出した。 「続きって?最後まで書いてあるんじゃないの? ていうか、それ、何の台本?」 アヤメが差し出した台本は、タイトルが書かれておらず、一見しただけでは何の台本なのか、まるで分からないものだった。 「これ、あれだよ。高校の学校祭で、私とお兄ちゃんがダブル主演でやったやつ。」 「ああ、そんなのあったっけ。……あんまり思い出せないな。」 僕もアヤメも高校は演劇部に入っていて、なかなかに人気者だったのだ。 この台本はその時のものらしいのだが、あまりよく覚えていない。
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