0人が本棚に入れています
本棚に追加
唐菖蒲
「ねぇお兄ちゃん。覚えてる?この話の続き。」
そう言ってアヤメは、僕の前にくしゃくしゃの台本を差し出した。
「続きって?最後まで書いてあるんじゃないの?
ていうか、それ、何の台本?」
アヤメが差し出した台本は、タイトルが書かれておらず、一見しただけでは何の台本なのか、まるで分からないものだった。
「これ、あれだよ。高校の学校祭で、私とお兄ちゃんがダブル主演でやったやつ。」
「ああ、そんなのあったっけ。……あんまり思い出せないな。」
僕もアヤメも高校は演劇部に入っていて、なかなかに人気者だったのだ。
この台本はその時のものらしいのだが、あまりよく覚えていない。
最初のコメントを投稿しよう!