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おまけ 1
「あの」
「なんだ」
「いやぁ、地獄のリハビリにも某熱血プレーヤー気味につきあってもらって、おかげさまでお医者さんもびっくりの回復をしたわけなんすけど」
うむ。なんだ。
「退院、おめでとう」
「あっ、すんませんありがとうございます」
「うむ」
「いや、そうじゃなくて」
「ん?」
「なんで、俺の家に平然とお入りで……?」
「?」
「首傾げられても」
「ゲームを教える約束だが?」
「それについては異論ないんすけど。あ、これはどうも……。って、なんで勝手知ったる感じでお茶淹れてくれるんすか? なんで淹れれるんですか?」
「礼には及ばない」
そうじゃないと疲れた顔で言われたが、なんだというのか。照れているのか。
うむうむ。それならば存分に感謝するがいい。我らが神よ、今日も私はあなたさまの慈悲なり。
「もしかして、住む気ですか?」
「ん?」
「っていうか、住んでました? 俺が入院してるあいだ」
「??」
「『何がいけないのかわからない』的な顔で、平然とテレビつけるのおかしくないですか!? 住んでましたよね! だって俺、リモコンなくしてテレビ見てなかったっすもん!」
「ベッドの下にあった」
「あ。そんなところに。見つけてもらって申し訳ない」
「気にするほどではない」
「あ、はい」
「うむ」
「えっ、本当に住むんですか?」
??
今日も男は不思議なことを言っている。
「当たり前であるが?」
「えっ」
「なにがいけない」
「や、別にだめではないですけども」
「だめなのか」
「だめじゃないですけど……」
「うむ」
男は何故か首を傾げている。未だに首の痛みがとれないとみえる。
神よ、人間とはか弱いものです。
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