おまけ 1

1/1
前へ
/23ページ
次へ

おまけ 1

「あの」 「なんだ」 「いやぁ、地獄のリハビリにも某熱血プレーヤー気味につきあってもらって、おかげさまでお医者さんもびっくりの回復をしたわけなんすけど」  うむ。なんだ。 「退院、おめでとう」 「あっ、すんませんありがとうございます」 「うむ」 「いや、そうじゃなくて」 「ん?」 「なんで、俺の(アパート)に平然とお入りで……?」 「?」 「首傾げられても」 「ゲームを教える約束だが?」 「それについては異論ないんすけど。あ、これはどうも……。って、なんで勝手知ったる感じでお茶淹れてくれるんすか? なんで淹れれるんですか?」 「礼には及ばない」  そうじゃないと疲れた顔で言われたが、なんだというのか。照れているのか。  うむうむ。それならば存分に感謝するがいい。我らが神よ、今日も私はあなたさまの慈悲なり。 「もしかして、住む気ですか?」 「ん?」 「っていうか、住んでました? 俺が入院してるあいだ」 「??」 「『何がいけないのかわからない』的な顔で、平然とテレビつけるのおかしくないですか!? 住んでましたよね! だって俺、リモコンなくしてテレビ見てなかったっすもん!」 「ベッドの下にあった」 「あ。そんなところに。見つけてもらって申し訳ない」 「気にするほどではない」 「あ、はい」 「うむ」 「えっ、本当に住むんですか?」  ??  今日も男は不思議なことを言っている。 「当たり前であるが?」 「えっ」 「なにがいけない」 「や、別にだめではないですけども」 「だめなのか」 「だめじゃないですけど……」 「うむ」  男は何故か首を傾げている。未だに首の痛みがとれないとみえる。  神よ、人間とはか弱いものです。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加