おまけ 2

1/1
前へ
/23ページ
次へ

おまけ 2

「ところで。俺はアナタをなんて呼べばいいんですか」 「待て。今は話しかけるでない。ミノタウルスが走って——ぬぅおお!? パリィ! よくやったぞ我が分身! おおお!」  いまのはまさしく危機一髪。  画面に宿る我が分身のいのちは、私のマウス捌きにかかっていると言うもの。  ぐおっ! やられてしまった! なんということ。 「名前……」 「私は神の慈悲だ」  そうじゃないと言わんばかりの顔をして寝そべる男に、私はもう一度「慈悲だが?」と告げた。 「じひ、さん?」 「うむ」 「え、慈悲って本当に名前?」 「名前もなにも、私はそういう存在だ。それ以上でもそれ以下でも、それ以外でもない」 「は、はぁ。じゃあ、じひさん」 「なんだ」 「なんで、スキル使わないんですか。ノーマルの殴りだけじゃ勝てないっすよ……」 「…………ショートカットキーとやらが、わからぬのだ」 「…………」  四角畑は覚えることが多くて困る。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加