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1天草優はなりたい
もう何回目なんだろうか。
慣れてしまった。これは3回目の転校。
でももう何も悲しくない。
悲劇を繰り返さないために。自己紹介はいつも通りテンプレで。
変に興味を持たれないようにしなきゃ。
「天草優です。京都府から引っ越してきました。よろしくお願いします。」
ただでさえ私は目立ってしまうというのに、これ以上は何か自己紹介で話したら余計に大変だ。
「天草さん席は神崎さんの隣だよ。」
今回も私は出席番号1番か。まあどっちみち転校生だから自己紹介は最初以外ないんだけど。
隣は横井太一くんか。
私が転校してきたのは2学期のちょうど
始め。
学級委員とか決まっていてもおかしくないし面倒事を押し付けられる心配もない。
5年生だから委員会活動とかあるだろうけどまあどの委員会でもいいや。
休み時間になった。 て言うかも小学5年生の二学期じゃもうグループ出来てるよな。
この学校人数が少ないから一クラスしかないし。
「ねえねえ天草さん、天草さーん。
私神崎奈々って言うの、よろしくね。
一応私でも学級委員長だし困ったことがあったら相談してね。」
優しそうな人だ。
この人はいい人そう。こんな私でも誰かと友達になれるのだろうか。 今まで転校初日で友達になれたことがない誰かと。 それはなぜなんだろう。
もしかして私がこんな感じで机に突っ伏しているから。そうに違いない。
自分から行動しなきゃ。この子に声かけてみようかな。
「あの佐々木さんだよね。 次掃除だけど理科室ってどこかな。」
「天草さん。 私話しかけようかと思ったけどなかなか声かけられなくてごめんね。 天草さんがちょっと綺麗すぎて、緊張して声かけれなかったみたい 。
私も一応学級委員だから困ったことあったら相談してね。
ちなみに私の名前は佐々木知佳。よろしくね。」
やった自分から話しかけられた。 これが友達の 第一歩。
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