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騒がしい音で覚めた。目覚ましのスマホのアラームはまだ鳴っていない。二度寝したいけど余りに騒がしいから、いつもより早い時間にリビングに向かうと朝食が出来上がっていた。
「早く食べちゃって」
と、母さんに急かされて椅子に座る。今日は朝から母さんのテンションが高い。ふくよかな身体に黄色いTシャツを着ているせいで目が眩しい。
食パンにバターを塗ってひと齧りしながらぼんやりカレンダーを眺める。今日の日付に真っ赤なペンで丸印をしてある。あぁ、今日は戦いの日なんだ、それでテンションが高いのかと納得した。
「今日は何の日なの?」
「今日は一粒万倍の日なの」
僕の低いテンションの何倍もの強い返事が返ってきた。僕は無言でゆで卵に塩を振る。
「今日はお弁当無いから、コンビニか学校で買って勝手に食べてね」
テーブルの上に五百円玉が置かれる。
「あと、早くパジャマ脱いじゃって。洗濯するから」
朝食を食べ終えてしぶしぶ部屋に帰ると、鳴り続けていたであろうスマホのアラームを止めてパジャマを脱いだ。朝から母さんに振り回されてテンションが下がった。
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