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運動会
運動会。
百メートル走。僕の番が来た。
百メートル走は四人で走る。ちなみに僕は五十メートルが十秒台、他の三人は八秒台だ。
うん。勝てるわけがない。
しかしここで僕が勝ったら僕のクラスが逆転するのだ。親もクラスメートも息をのんで僕を見ている。絶対勝たなきゃいけないやつだ。
おおおおおー、どうすればいいんだー!
この状況、どうすればいいんだーーーーー!
シャラララララン。
ん? 何の音だ?
《ここじゃよ、ここ》
上から声がした。とっさに上を見る。
な、なんと、羽のはえたおじいさんがいるではないか!
《わしがお前の足を速くしてやろうじゃないか》
そんなことができるのか!
そう思ったとたん、おじいさんが大声をあげた。
《とりゃあああああああ!》
ビックリした! 一体何が起こっているんだ!?
《お前に力を注入してやったぞ。これでお前は1位確定じゃ》
確かに、身体中の力がみなぎっている気がする!これでもう誰にも負けないぞ!
パン!
ピストルの音がした。
百メートル、約五秒。
速すぎだ。
さすがに皆呆気にとられていた。
と、思いきや、
「やったぁ、やったぁ」
皆喜んでいる!
ははっ、良かった良かった。
ガバッ。
あれ、なんだ、夢だったか。
今日は土曜日、運動会だ。
嫌な予感しかしない。
[完]
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