兄妹の章

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兄妹の章

「お兄ちゃん、本当にこの道であってるの?」 暗い、暗い森の中、小さな兄妹が月明かりを頼りに進んでいく。 「あってる……はず。わからない、けど進むしかないよ。」 そこにはもはや、道と呼べるものはなく、2人は鋭利な草木で肌を傷つけながらひたすらに前へ進む。 「お兄ちゃん……もう、歩けないよ……」 妹は泥まみれになった自らの足を見ながら言う。 「頑張って。あと少しのはずだから」 兄は見えもしない希望を見ながら言う。 「お兄ちゃん……」 再び妹は口を開く。しかし、兄の有無を言わせぬ表情に、妹のつぶやきは靄となって消えていった。 暗い、暗い森の中。 己の道を失った小さな兄妹のおはなし。
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