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魔女の章
「一体全体どういうことだ?」
魔女は苛立っていた。
「待てど暮らせど獲物は肥えない」
せっかくのご馳走なのに、獲物の指は細いまま。
「ああ、もう我慢ならない!」
腹を空かせた魔女は、兄妹の罠に気付けない。
「怠けるんじゃないよ!池で水を汲んで来るんだ。それから竈に火を起こしな!」
魔女がするのは料理の準備。食事の前の当たり前の仕事。
「嫌よ!どうしてこんなことするの?」
それなのに、どうして魔女は責められる?
「お前の兄さんをぐつぐつ煮込んで食べてしまうためさ!わかったらグズグズするんじゃないよ!」
魔女にとっては当たり前の、食事の準備。
「久しぶりの食事だ。ああ、楽しみ。」
けれど兄妹にとってそれは、異常でとっても恐ろしい出来事。
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