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 ビーバーはとっさに立ちあがろうとしたが、片足を失っていたため、よろめいて倒れた。  天敵がいなかったことがいけなかった。  天性の警戒心も、研ぎ石との営みを怠ったために、なまくらと化していたのだ。  このビーバーはホームレスだった。  みんなが家を建てたせいで、自分の住まいをこしらえるだけの材料すらなかったから。  仲間は死んだ。大勢死んだ。  このビーバーも、また死んだ。 「¡El diablo que rompe el bosque!」
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