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今日のほっこりニュース
美術館の閉館後、警備員はある珍客の対応に心底頭を悩ませていた。
閉館したというのに、その客は何度も何度も美術館のなかに入ろうとしているのだ。
仕事を終えた従業員が出てくる。
警備員はそのたびに扉を開ける。
珍客もそのたびに侵入を試みる。
誰もが彼らの攻防を長期戦と見込んだが、とうとう折れたのは客のほうだった。
肩を落として、とぼとぼと森へ帰っていく。
そう、珍客とはこどものタヌキだったのだ。
このやりとりは美術館の職員によって動画に収められ、ニュースとして夕方の国民に伝えられている。
なんとも癒される話だ。
お茶の間がぽかぽかとした雰囲気になったことは間違いないが、タヌキの心情は穏やかではなかった。
「ぼくは必ずお母さんを助けるんだ。
剥製になっても、お母さんはお母さんだから」
※この話はフィクション(だといいですね)
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