上を向いて

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上を向いて

 真昼間のベッド。エスキモーロールのように長い髪をばさっと靡かせ起きあがると、毛先には埃の装飾。  足元はざらざらしていて、引きこもっていても砂浜でのバカンス気分だ。  うまく声が出ない。背中がひどく痒いせいだろうか。それとも四次元のせいか。  私は直感を信じているから、そのどちらも正しいと思う。ついでに、今が昼間なんかではないという天啓も、正しいと思う。  だけど、正しいから良いってわけじゃない。  どうせ私は、白衣に囲まれた獣なんだから。
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