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探しものは秘密の花園で
「ついに、来たな……」
華々しく飾り付けられた門を見上げ、俺たちはごくりと唾をのむ。
この花水木女子学園高校──通称「花女」は、普段は男子禁制の秘密の花園だ。
だが一年にたった三日間だけ、その門が万人に開かれることになっている。
その貴重な三日間のうちの一日が今日だった。
「花高祭……って、こんなんやねんな……」
つぶやいたのは言い出しっぺのシマこと島田浩之だ。
今年こそは花高祭──花女の文化祭に乗り込もうと俺たちを誘った張本人である。
「シマ、緊張してんちゃうん?」
少し茶化すように言うと、それまで完全に雰囲気にのまれていたシマが勢いよく振り返った。
「そらするやろ! なんっつっても女子高ですよ? しかも花水木女子ですよ?」
謎に敬語が発動している。
確かに、男子校に通う俺たちの普段の環境を思えば、これだけの人数の女子高生が一堂に会しているだけで異次元だ。
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