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エンディング
「ほんとに良いんスか、エースさん」
「ああ。あいつは我々の役に立たない」
「でも、上には」
「俺から言っとくさ。死んだことにしてもいい」
彼らは来た道を帰っていった。
全てが、終わった。
「ルイ、本当にわる―」
「謝るなよ。これで、良かったんだ」
「でも」
彼は静かに少女を抱えて座っていた。
その顔は昔のような、とても穏やかのものだった。
「僕の方こそ今までごめん」
「やめろよ。俺は何もできなかった。もっと別の道があったはずなのに」
「ううん。ないんだ。僕、やっとわかった。二人の娘を失って、やっと」
春の風が、彼の黒髪をそっと揺らす。
彼は、もう動かないその子を、優しく、優しく、抱きしめていた。
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