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その日から私は新型プロペラの最終設計を夜遅くまで掛けて進めた。そしてようやく損失が最小となる三次元形状の設計が完了したのが本番の二週間前だった。急いで3Dプリンターでプロペラの制作に入る。
飛行人間コンテストの一週間前、私と山本先輩が見守る中、新型プロペラの最後の分割断面が3Dプリンターから出力された。あとは五つに分割して出力した部位を組立てるだけだ。
「高倉さん、やったな!」
「はい、これで長距離飛行が可能となると……思い……えっ?」
その時、私は突然の眩暈に襲われた。立ってられなくて、その場に座り込んでしまう。
「高倉さん! どうしたんだ? 大丈夫か?」
先輩の声を聞きながら、私は意識を失っていた。
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