飛行人間コンテスト

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飛行人間コンテスト

『飛行人間コンテスト』当日。  今年からこのコンテストはFAIの要件を満たす為、離陸は高台(プラットフォーム)を使わず、そして開催場所は東京湾に変更された。離陸サイトはお台場海岸となり、東京湾を南に向かって飛行する事になる。  午前九時、山本先輩の『HSP』が離陸時間を迎えていた。私は病室のテレビを使ってその飛行を見ることにしていた。私の手術は午後一時に開始予定だから、山本先輩の飛行を最後まで見て、手術に臨む事が出来る。 『次は濵横サイエンス高校の『HSP』です。パイロットは山本健一君です』  テレビの画面に山本先輩がコックピットに乗り込むシーンが映された。場面がコックピットの内部映像に切り替わる。 『それでは、プロペラを回します!』  山本先輩がペダルを漕ぐと、私の設計した直径三.二メートルのプロペラが回り始めた。 『行きます! 三、二、一、GO!』  『HSP』が離陸滑走を始めた。素晴らしい加速力で速度を上げていく。車輪が地面を離れ滑らかに離陸した。  直ぐに機体は海面上に出て高度二メートル程で飛行始めた。待機していた二台のモーターボートがそれを追いかけている。少し左旋回した『HSP』の飛行はとても安定している様に見える。 『ペダルがとても軽いぞ! 新型プロペラ最高だ! サンキュー、高倉さん!』  テレビから自分の名前が聴こえて、とても嬉しかった。 「頑張って! 山本先輩!」
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