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プロローグ
(ねぇ、私のこと覚えてる?)
それは目の前の背の高い女性の声だった。でも彼女の背中には黒い翼が見える。そう言えば……以前に彼女を見たことがあった。小さな頃、交通事故に遭って昏睡状態だった私の夢に出て来た女性……。
(そう、貴女を迎えに来たの。あの時は残念だったけど、今度は大丈夫かな?)
(貴女は、天使? それとも悪魔なの?)
彼女が口角を少し上げる。
(どっちでもないわ。貴女を死の世界へ連れて行く死神よ)
(いや! 私はまだ生きていたい!)
彼女が驚いた様に私を見つめている。
(あれ、そうか、まだみたいね……。分かったわ。その時になったら、また来るわ。じゃあね)
そう言うと彼女は忽然と消えてしまった。
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