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出会い
―――苦しい⋯
―――体が動かない
―――誰か、助けて
―――お母さん⋯
ハッと目を覚ました私は、ガバッと体を起こした。見慣れた自分の部屋。
寝汗をびっしょりかいたせいで、パジャマがボトボトで。
安心のため息をついた時、汗がスっと引いていくのを感じた。
2度目のため息をついた時、枕元に置いていたスマホが鳴っているのに気づく。
どうやら悪夢でうなされていた私を起こしてくれたのは、このスマホの着信音らしく。
『あ、遥(はるか)、やっとでたー』
もしかして寝てた?と電話越しで呆れた声を出す莉子(りこ)。
「ごめん⋯寝てた⋯」
『何時か分かってる?』
何時か?
顔を動かし、ボケーーー⋯っと時計を見れば、もう夕方の16時で。
昨日、明け方まで遊んでいて、家に帰ってきたのは朝の6時ぐらいで。そこから夕方まで眠っていたらしい。
『17時に駅よ、大丈夫?』
「⋯なんか予定あったっけ⋯?」
『昨日、西高の男と遊ぶって言ったでしょ』
言ってたっけ⋯?
ぼんやりと思い出そうとするけど、最近、よく遊んでいる私はいつどこで約束をしているか正直覚えていなく。
記憶があやふや⋯。
『遥、体調悪いの?出てこれる?』
「あーううん、大丈夫、17時にどこ?」
『駅って言ったでしょ』
「あ⋯そうだったね」
『待ってるからね』
「うん」
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