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優香もたまに、この店に来るようで今日はめずらしく一人できていると言う。
「7年ぶりくらいかね。再会に乾杯」とオレが乾杯を促した。
互いの近況報告をしてから、優香が友人の話をした。
「幼友達なんですけど、最近いろいろ悩んでるみたい。彼女、頑張って大学出て奨学金を返済しているみたい。でも、いま会社が売り上げが減って給料まともにでてないみたいで。先日もね、こう言うのよ」
「親ガチャだって」
「自分のスタート地点が低すぎて、どうあがいても貧困から抜け出せそうにもないって」
優香が言うには、その友達の家は貧しい上に姉妹も多く、ずっとお金に苦労してきたらしい。容姿にも自信がなく、やることなすことうまくいかず、全部がいやになると言っているらしい。
「それでも頑張ってバイトしながら大学出て、仕事に就いたんだろ?」オレが言った。
「そう、苦労していろいろ資格も取って。それでも、やっぱり身についた貧困癖から抜け出せないって言うのよ」
優香はおそらく、友人を借りて自分の身の上を語っているのだ。
たまに一人で飲みに来る、この時間だけが彼女の唯一の息抜き、贅沢なのだろう。
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