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駅前の百貨店。子供服売り場のフロア。 未知の世界に踏み込んだ俺は、白いフリフリのついた半円形の布をジッと見る。 ・・・なんだ?これは。 「可愛いねー。」 鈴音さんがとろけそうな顔で、正体不明のフリフリ布を見る。 「これ、何?」 「え?」 鈴音さんが驚いて俺を見上げ、そのあと吹き出す。 「そっか。分からないよね。」 クスクスとおかしそうに笑ってから 「赤ちゃんの帽子だよ。」 と教えてくれる。そばにあったカタログを手に取り、ペラペラとめくって、俺に向ける。そこには、フリフリの布を頭に巻かれ、フリフリのドレスを着せられて、まんまるの顔で笑っている赤ちゃんの写真があった。 「か、かわいい・・・。」 「でしょ!可愛いよね!」 鈴音さんが、はぁー、っとため息をつく。 「ずっと見てられる。」 その鈴音さんの横顔を見ながら、俺はこっちをずっと見てられる、とニヤつく。
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