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30分ほど赤ちゃん服を堪能した鈴音さんと、その鈴音さんのメロメロ顔を堪能した俺は、満足して下りのエレベーターに乗り込んだ。 ガラス張りのエレベーターから見える街はもう夕暮れ時で、空がきれいなオレンジ色に染まっていた。 隣にいた男の子が、 「ママ、なんで朝と夕方は、お空がおんなじような色になるの?」 と聞いている。 難しい質問だな、と思っていると 「お日様が、来る時と、帰る時で、同じ色になるんじゃない?」 と母親が答える。 「おはようと、バイバイが同じ色なら、バイバイが寂しくないから?」 詩人だ!と感心して、俺は思わず男の子を見る。 「そうかもねー。」 あっさりした母親の答えに、流すのっ?!と驚く。 「純ちゃん、お膝、まだ痛い?」 母親が男の子の膝を見ようと覗き込んでいる。つられて俺も盗み見ると、男の子の膝が擦りむけている。
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